ハデスとペルセフォネ(5)

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ハデスとペルセフォネの物語が継承されている例として、ヘヴィメタル・バンドの話をしておきたいと思います。

管理人は音楽の才能が全くないのですが、であればこそ楽器の演奏に憧れがあって、十代の頃から「フージョン」とか、インスト曲をよく聴いていました。わかりやすいヴォーカルのかっこよさより、ベースとかドラムに惹かれるのです。で、演奏の巧さというのを辿っていくと、モダンな音楽ではハードロックやヘヴィメタルにいつかは自然と出会います。それで二十代後半からヘヴィメタル系を聴いてきたことと、神話はけっこうヘヴィメタルと縁があることが、今回の話の背景にあります。

「神話とメタルに縁がある」との観点について補っておくと、その物語性・豊かなイメージの内包に由来する表現のポテンシャル、現代と異なる世界観・宗教性等etc. から、先鋭的表現の素材として古代神話は注目されやすいといえるでしょう。

さて取り上げるのは、ヨーロッパの小国アンドラ公国の、プログレッシブ・メロディック・デス・メタル・バンド「ペルセフォネ」および彼らの2ndアルバム『CORE』(2006年)です。

ボーナストラック(MEGADETHのカバー)を別にすると、収録はたった3曲なのですが各曲が23分前後。バンド名の由来であるペルセフォネの物語を、このエピソードに関わるデメテル、ハデス、ペルセフォネ(コレ)の視点で歌い上げるという独特なコンセプト・アルバムです。

なおアルバム・タイトルのCORE(コア)には、バンドの「核心」との意味と、ペルセフォネの別名、乙女の意のコレ(英語などではKoreと綴られる場合が多い)も、かけられているようです。今は手に入りにくいかもしれませんが、以上のようなタイトルの理由にもふれている日本版CD付属解説が、的確な神話解説も含み秀逸です(渡辺清之による文)。

管理人は2006年、アルバム発売からまもなく、たまたま試聴し、神話と無関係に演奏が良かったのでダウンロード版で購入しました。そういう音楽購入形態の普及し始めの頃であったかと。懐かしい。その後、これは神話継承の例としておもしろいぞと、保存資料としてCDも購入しました。

なぜペルセフォネというバンド名にしたのかなども、しっかり確認してから追記しようかと思っております。

作品自体に戻ると、小難しいことは抜きに、当該ジャンルに少しでも関心がおありなら「聴ける」アルバムだと思います。特に一曲目の終盤のギターでの盛り上がりが印象的です。神話とは関係ないですけれど彼らのその後のアルバムもおすすめ。

そして何より、「ほうほう神話ってこんなところにもつながっているのか」「プログレッシブ・デス・メタルて何?ここで知らなかったら一生縁がなかったかも。調べたり聴いたりしてみるか!」という人がいてくれたら幸いです。

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