ポピュラーミュージックにおける神話

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影響力あるジャンルとして、ポピュラーミュージック(における神話)も取り上げてみようと思います。今回は海外のもので思いついた例。

アメリカのシンガーソングライターで、世界的な人気を誇るレディー・ガガには、美と愛欲の女神アフロディテに言及した『G.U.Y』、アフロディテのローマ名に由来する『ヴィーナス』という曲があります(2013年)。両曲のミュージック・ビデオの演出も、古代ギリシアや神話イメージを意識したものとなっていました。もちろん題材は女神ばかりではありません。同じくシンガーソングライターのサラ・バレリスにはヘラクレスのような力強い存在をイメージした楽曲『ヘラクレス』があります(2013年)。

また、ロックバンドのアレサナ(アリセイナ)のデビューアルバム『オン・フレイル・ウィングス・オブ・ヴァニティ・アンド・ワックス』(2006年)にはギリシア神話を題材にした楽曲が複数含まれていました。このアルバムは、父親ダイダロスの忠告を聞かず空高く飛んだために墜落して死んでしまったという「イカロス」についての語りで幕を開けるのですが、イカロスといえば、ロックバンドのスライス(Thrice)に、イカロス視点で作詞された『メルティング・ポイント・オブ・ワックス』(2003年)、ダイダロス視点で歌われる『ディーダラス(ダイダロス)』(2008年)という楽曲もあります。

若者の暴走のように解釈できることからか、イカロスのイメージはロック系のアーティストに特に人気があるようで、多くの楽曲の題材となっていますね。最も有名なのはおそらく、イングランドのヘヴィメタルバンド、アイアン・メイデンの『イカロスの飛翔』(1983年)でしょう。

ヘヴィメタルといえば技巧派のプログレッシブ・メタルなるサブジャンルもありますが、その代表的バンドの一つであるアメリカのシンフォニーXが、叙事詩『オデュッセイア』をモチーフにした『ジ・オデッセイ』(2002年)というアルバム(24分超のタイトル曲が含まれる)を制作しているように、複雑な演奏を物語のごとく展開する楽曲が好まれるヘヴィメタルにおいて、神話物語にインスピレーションを得た曲が実は多いのです。メタルと神話については別記事でもふれたいと思います。

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