Olympus Has Fallen

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ギリシア神話の主だった神々が住まう地、と想像されたのが、ギリシア北部に実在する「オリュンポス(オリンポス)山」です。標高は2,917m。日本でいうなら富士山のように神々しいイメージを伴う、地域・国の象徴的存在といえるでしょう。

古代ギリシア文化の構成への影響に相まって、世界各地に同名の山がありますし、火星にも「オリンポス山」と名づけられた山があるのです。標高は25,000mほど(周囲から27,000mほど高く、それだとエベレストの3倍を超える高さ)で、太陽系で最も高い山岳地形なのだとか。

日本の光学機器メーカーの「オリンパス」(Olympus)は、この名称に由来しています(英語発音でオリンパス)。ちなみに、創業時の社名が「高千穂製作所」だったそうですが、その由来である高千穂峰は、日本神話の神々が集う山とされていました。そこからの連想と、「世界に通用する製品を作る」との思いも合わさっての名称なのだそうです(企業公式サイト>創業の精神)。

管理人は神話ネタ継承の探索目的もあって映画をよく見るのですが、そのオリュンポス山のイメージを念頭に、Olympus Has Fallen すなわち直訳するなら「オリュンポス陥落」といった原題が付けられていたアメリカ映画が2013年に製作・公開されました。邦題では、よりわかりやすくということなのでしょう、オリュンポスという表現は用いられなかったのですが、この映画で「現代のオリュンポス」に喩えられている場所とはいったいどこなのでしょうか?(邦題が答えに直結します。)

といった感じの問題(クイズみたいなものです)を、管理人は大学の授業で出題することがあります。昔々の文化が受け継がれ続けている、再生して身のまわりに存在している、といったことを実感してもらいたいからです。

さて、想像できましたでしょうか。答えは、米国の大統領が居住し執務をおこなう「ホワイトハウス」です。それで、日本公開時の邦題は『エンド・オブ・ホワイトハウス』でした。テロリストにホワイトハウスが占拠されるという設定のアクション・スリラー映画なのですが、そこが「神々の住まう場所」オリュンポスに喩えられているのがいろいろ示唆的です。

ギリシア神話からは離れる話になりますが、本作はなかなか緊張感があって引き込まれる佳作との印象が残っております。ただし、設定・展開として斬新さがあるというわけではなく、同ジャンルの映画をよく見る人などからは特に評価が厳しくなるかと思いますけれども、管理人は本作監督のアントワーン・フークワがけっこう好きです。先述した、独特の緊張感ある演出が好きですね(『ザ・シューター/極大射程』『クロッシング』『イコライザー』など)。

さらに余談ですが、『エンド・オブ・ホワイトハウス』には続編があり、『エンド・オブ・キングダム』(原題: London Has Fallen)、『エンド・オブ・ステイツ』(原題: Angel Has Fallen)と続いております。ただし監督はそれぞれ別です。興行的には成功したのでしょう。監督は別と言いましたが、主演は3作とも一緒でジェラルド・バトラー。彼は古代ギリシアを舞台にした2007年の映画『300』(スリー・ハンドレッド)でも主演を務めていました。こちらは神話とは直接関係ないのですが、ギリシア関連でいつか記事として取りあげたいとも思っています。

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