トロイア戦争後の物語(3) 怪鳥セイレーンなど
アイオロスの島
キュクロプスの島を去ったオデュッセウスたち一行は、風の神アイオロスの島にたどり着きます。シチリア島北方には、アイオロス Aeolus に名称が由来する「エオリア諸島 Aeolian Islands」があります。
風の神は、西風以外の風を閉じこめた袋をオデュッセウスに与えました。この袋を閉じておけば風は西風ばかりになって、それによって船はまっすぐ故郷のイタケ島に着けるというのです。ところがオデュッセウスの部下たちが、袋に風しか入っていないことを信じず、あけてしまったので、暴風が吹き荒れ、彼らは故郷と遠く離れた海域に流されてしまったのでした。
魔女キルケ
その後一行は、アイアイエという島で魔女キルケに出会います。まず部下たちがキルケの魔術によって豚の姿に変えられてしまうのですが、オデュッセウスがキルケに迫ってもとの姿に戻させると、彼らは島に滞在することになり、しばらくオデュッセウスとキルケは夫婦のように暮らしたのでした。
オデュッセウスはキルケの助言に従い、高名な予言者テイレシアス(いずれ別記事で紹介予定)の亡霊に帰国の指針について伺いを立てるため、大洋の流れの向こうに入り口があるという冥界に下ります。そこで帰国についての託宣を得た後、キルケのもとに戻って彼女にも再び助言を受け、祖国目指して出航することになりました。
キルケは、西洋における魔女イメージの原点の一つとしても重要なキャラクターだと思います。別記事でもいつか詳しく扱いたいです。
怪鳥セイレーン
そしてオデュッセウスたちは、美しい歌声で船乗りを惑わし、船を難破させる怪鳥セイレーンに遭遇。
※セイレーンの姿はのちに人魚としても想像されるようになります。そうしたイメージの変遷や影響について詳しくは、尾形希和子『教会の怪物たち』講談社選書メチエ、2013年。
セイレーンのいる海域を通る際、オデュッセウスは部下たちにロウで耳栓をさせる一方、自分はセイレーンの歌を聴くため体をマストに縛りつけさせました。歌によってオデュッセウスはセイレーンのもとに行こうとするのですが、部下たちがこれを押さえ、無事にセイレーンの海域を通過しました。
セイレーンが「スターバックス」のキャラクターになっていることについてはこちら。
トロイア戦争後の物語の続きはこちら。