『クレタ島の怪物を探せ』と『世界史探偵コナン』

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いま小2の娘のまわりで、『どっちが強い!?』という「科学まんが」シリーズが流行ってるそうで、新刊を買いに書店に行きました。つい先日出版された新刊がどこに行ってもなくて、あいているスペースから推測するにあっというまに売り切れた様子。結局、ネット注文しました。翌日に届いて、便利な世の中になったなあと。書店の実店舗はたいへんですけれど。

しかし店頭をあれこれ眺めていたおかげで、角川まんが超科学シリーズ(『どっちが強い!?』とも関連するシリーズの様子)『ナゾトキ・ハンター』(ストーリー:タグタグ、まんが:ソーラーチーム)の一冊、『クレタ島の怪物を探せ』(KADOKAWA、2021年)が目に留まり、購入いたしました。

ギリシア神話において英雄テセウスに倒されたと伝えられる、クレタ島の牛頭人身の怪物ミノタウロスを題材にしつつ、古代ギリシアの歴史や文化、そしてギリシア神話の大枠について学べます。要所でのなぞときクイズもおもしろい。大人でも考え込んでしまう問題がありました。

いわゆる学習漫画として括られるかと思いますが(広義には、ということになるでしょうか)、自分も子どもの頃にこのような漫画でいろいろ学んだなあと感慨深かったり、いまの学習漫画の進歩(なかなか凝った設定、引き込む工夫)に感心したり。

管理人はあまり詳しくないのですが、学習漫画って、けっこう日本独特の文化なのだと伝え聞いております。

また、同シリーズは他に古代エジプトも題材にしています。定番ですね。普遍的に古代遺跡はロマンを喚起します。ギリシア神話もそうかも。

そして、こういった古代史や考古学的な分野で興味・ロマンを喚起してきた定番ネタとしては、本サイトでも注目している「アトランティス」も挙げられるでしょう。

近年の例に『世界史探偵コナン アトランティス大陸の真実』(原作:青山剛昌、まんが:山岸栄一、斉藤むねお、小学館、2020年)があります。長らく続くミステリー漫画・アニメ『名探偵コナン』とリンクさせ、学習漫画を超えた歴史エンタテインメントを謳ったシリーズで、『日本史探偵』全6巻に続く『世界史探偵』シリーズ全12巻のうちの一書。

※ちなみに『世界史探偵』の各巻での題材は、1:大ピラミッド、2:アトランティス、3:名画モナ・リザ、4:マルコ・ポーロ、5:黒死病、6:切り裂きジャック、7:クレオパトラ、8:古代都市ポンペイ、9:マヤ文明、10:アラビアン・ナイト、11:マリー・アントワネット、12:月面着陸。こうした選択には時代も反映されるでしょうが、ピラミッドやアトランティスはかなり普遍的題材ではないでしょうか。

さて、この『アトランティス大陸の真実』について。真実・退廃から目を背けたからこそアトランティスは滅ぶことになった、それは今の世にも通じる警告であるという本作の幕引きは、ありがちと思えるかもしれませんがプラトンの本来の意図に沿ったものでもあり、そこを落としどころにうまく話を脚色しています。また巻末には、シュリーマンのトロイア発掘のエピソードや、古代の謎としてストーンヘンジ、イースター島のモアイ像といった昔ながらの題材に加えて、「実在した超古代文明!?ギョベクリ・テペ」の紹介もあります。

ギリシア神話や、アトランティス、「歴史上の謎」…こうした継承について考えるからには、もっと児童書にも目を向け続ける必要があると思いました。

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