アポロン/アポロ 文化・予言・失恋の青年神(2)

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デルフォイの予言の神

アポロンは予言の神でもありました。ギリシア中部のデルフォイ(デルフィ)にはアポロンの神殿・神託所があり、アポロンが巫女に乗り移って託宣を下すと考えられたのです。遺構が残るデルフォイ(デルフィ)は現在、世界遺産になっています。

デルフォイには「聖石」があって、それが地球の中心とされていました。デルフォイの重要性を示すこの石は、オンファロスすなわち「へそ」と呼ばれ、今でも omphalos には「中心、へそ」という意味があります。

当地は古名をピュトといい、ピュトンという大蛇がいたとされますが、アポロンがこれを退治し自らの聖地にしたと伝えられ、アポロンはピュティオスとも呼ばれました。

キリスト教では特に悪役とされる蛇ですが、脱皮するところから古くは生命再生の象徴として信仰対象になることもあったと推測され、アポロンのピュトン退治は、先住民以来の古い信仰にアポロンの宗教が取って代わったことを示唆するとも解釈されています。

またデルフォイの巫女はピュティアと呼ばれ(神託、予言を下す巫女は一般にはシビュラ)、神託所において「神の狂気」=「マニア」にとり憑かれて神託を下していました(熱狂的情熱を何かに向ける「マニア」の語源)。

デルフォイには、神託を求めてギリシア中さらにはギリシア外の国々からも人々が訪れたので、どこで戦争があってどんな情勢かとか、どこそことの貿易が利益を生んでいるとか、どの海域が危険だ安全だといった話など、自然と国際的な情報が集まったことでしょう。神託の背景には、関係者たちによる情報の集積と分析があったのかもしれません。

神殿の入り口に刻まれていた有名な言葉が、「汝自身を知れ」。自分をわきまえ、敬虔でありなさいという戒めです。神々は人間の思い上がりを許しません。特にアポロンには、おごり高ぶる者を矢で殺すというイメージがありました。→そんなアポロンの恋愛物語に続きます…

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