コミック・アニメにおける継承

最終更新日

コミックやアニメを通して古代神話の神や英雄について知るようになった方も多いでしょう。そうした作品はもちろん単体でもおもしろいのですが、そこに数千年前から受け継がれた神話が関係していることをふまえると、人間の文化のつながりや深さも感じて、もっと楽しめると思います。想像を楽しむために、神話と現代とのつながりを知ろう。これが本サイトの理念の一要素でもあります。

今回は、冒頭に挙げたコミックやアニメーションをつついてみます。後述するマーベル映画の『エターナルズ』で思い出したからなのですが。それで、今回はアメリカ合衆国を例にしたイントロダクション的な話でもあります。

なお、西洋古代の文化・歴史の、コミックにおける影響については、以下のような本があります。George Kovacs and C. W. Marshall (eds.), Classics and Comics, New York: Oxford University Press, 2011; George Kovacs and C. W. Marshall (eds.), Son of Classics and Comics, New York: Oxford University Press, 2016。

まず、詳しい方には言うまでもないことの確認から。アメリカン・コミックには代表的な出版社が2つあります。スーパーマンやバットマン、ワンダーウーマンなどを生み出したDCコミックスと、アイアンマンやスパイダーマンを主人公とする作品で知られるマーベル・コミックス。そして、このどちらのコミックにもギリシア神話に由来するキャラクターが多数登場するのです。

たとえばマーベルでは、ギリシア神話において最も多くのエピソードをもつ英雄ヘラクレス(ラテン語での呼び名を経て英語でハーキュリーズともいう)が登場します。なおマーベルの神話由来キャラだと北欧神話の「マイティ・ソー」がすでに有名ですね。

DCの方に登場する「ワンダーウーマン」はギリシア神話の女戦士「アマゾン族」が設定の背景にありますし、同じくDCの「アクアマン」は本サイトで着目しているアトランティス(厳密にいうとギリシア神話と異なりますが)の王族末裔です。これらはほんの一部の例。

今度はマーベルやDCとは別系統で。大人の読者が対象とされるコミックをときにグラフィック・ノベルと呼び分けるのですが、近年、作家・イラストレーターのジョージ・オコナー George O’Connor によって、オリュンポスの神々の由来などを描いたグラフィック・ノベル『オリュンピアンズ』(Olympians)シリーズが刊行中で、好評を博しています。グラフィック・ノベルでは、ギリシア神話中もっとも有名なエピソードであるトロイア戦争の物語を詳しく描く、エリック・シャナワー Eric Shanower『エイジ・オブ・ブロンズ』(Age of Bronze)もあります。

アニメーションでは、ディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』(ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ監督、1997年)が有名な例でしょう。その続編としてTVアニメシリーズも製作されています。ちなみに日本ではその映画の主人公ヘラクレスの吹替を松岡昌宏さんがされていました。数年前、授業のために『ヘラクレス』を観た数日後に偶然、京都の飲み屋さんにお一人で立ち寄られたご本人と遭遇し、お話しさせていただいたことがあります。昔の吹替えを話題に出すと「あったあったそんな仕事!」とおっしゃり、そのときのことを思い出して話に乗ってくださったのを覚えています。あと個人的興味でドラムの話もしましたけど。

さて、先述しましたが2021年秋、マーベル映画の『エターナルズ』という神々を題材にした作品が公開されます。原作コミックも合わせてこれがまた、ギリシア神話にかなり関係が深いのです。その話はまた別の投稿でする予定。管理人はマーベルおよびDCにあまり詳しくはないのですが、関連映画やドラマは一応ほとんど見ています。「現代の神話」として興味深いので。『エターナルズ』も見てから記事にしたいと思います。

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトは reCAPTCHA で保護されており、Google の プライバシーポリシー利用規約が適用されます。

コメントする