プラトンは語る(6)

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プラトンによるアトランティスの描写、その繁栄と滅亡についてです。

首都北方の平野は美しい山々によって囲まれ、人々が暮らす村が山々にまでたくさん存在したといいます。また、川や湖に加え、家畜や野生動物に豊富な餌を提供する広大な草原もあったそうな。動物といえば「象のような生き物」も生息していたとされます。森林は多く、どんな需要にも応じるいろいろな種類と大きさの木材が手に入りました。地上に産する香料は何でも取れたし、葡萄、主食の穀物、油を作るための木の実なども豊富に得られたとも述べられています。

地下資源も豊かで、金に次いで貴重な金属であり炎のように輝いたという「オレイカルコス」が島全域にありました。その言葉の変化形が「オリハルコン」で、謎の金属の名としていつしか定着し、現代のフィクション作品などによく登場しています(参考記事はこちら)。プラトンよりも前の文学作品でも言及があるのですが、何を指すのかは不明です。ただ、文字通りの意味は「山の銅」で、古典学者などによってたとえば、銅と亜鉛の合金である真鍮(黄銅)のことをいっているのではないかと推測されてきました。

そして歴代の王たちは、

かつていかなる王の権力によっても集められたことがないほどの、またこれからもなかなか集められそうもないほどの莫大な富を所有し、およそ都市その他の地域で必要とされる施設はこれをことごとくそなえつけていたのであった。

『クリティアス』114D 先述のように『クリティアス』訳は岩波書店『プラトン全集12』田之頭安彦訳より

それは、彼らの支配権ゆえに、島の外から多くのものがもたらされたうえに(北アフリカやイタリアにまで支配が及んでいたとされる。『ティマイオス』25A-B)、島自体が豊かなので、生活に必要な物のほとんどが島内でも手に入ったからでした。

軍事力も強大だったといいます。10に分けられたうちの中心的王国では戦時に、重装歩兵、弓兵、投石兵それぞれ12万人、軽装投石兵、投槍兵それぞれ18万人、さらに戦車1万台と軍船1200隻分の要員が集められたと記されています。

栄華をきわめたアトランティスは、地中海全体の征服を企てましたが、アテネによって撃退されたと伝えられます。そんな昔にアテネが存在したというのも伝説的な話です(※この伝説のアテネの登場が、物語全体を理解するカギにもなるのですが…いずれ別記事で解説。)→直接の続きとしてアトランティスの滅亡へ

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