思い出した参考文献(ヘヴィメタルと、SF)

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前に別記事で、ヘヴィメタルと神話との「親和性」についてふれたことがあります。この点について思い出した本がありました。

ヘヴィメタルと神話(ギリシア神話に限りません)とを重ね見るような論を展開している、Robert McParland, Myth and Magic in Heavy Metal Music, Jefferson, NC: McFarland, 2018。

以下は管理人の見方も加えての、かみ砕いた意見です。激しい音楽性を特徴とするヘヴィメタルは、衝動、本能、想像力の開放を志向しており、合理性と相対するような神話性を帯びています。また既存の価値観の批判や破壊という思想から、キリスト教を相対化あるいは攻撃する文脈でも(ちなみにクリスチャン・メタルというサブジャンルもあるので一枚岩的には捉えるべきではないことは付言しておきますが)ヘヴィメタルは古代の神々や神話に目を向けたり、社会に立ち向かうことの寓意的表現として神話の勇ましい英雄や戦いを題材にしたりする傾向があるわけです。こうした観点にご興味がわいたら、前掲の書をご覧いただきたいと思います。

なお、神話を含む「古典受容研究」(Classical Reception Studies)というのが欧米では活況を呈していまして、本ブログの軸である「神話がどのように受け継がれているか、現代の諸文化と古代神話はいかに関連しているか」という観点に関わる参考文献は近年ますます増え続けています。こちらはヘヴィメタルとは別ですが、SFと古代神話含む西洋古典との関連性について参考になる、Brett M. Rogers and Benjamin E. Steven (eds.), Classical Traditions in Science Fiction, Oxford: Oxford University Press, 2015 などもそうですね。

こうした動向についてはいずれ詳しく記事にしておきたいとも考えていますし、興味深い参考文献についても、折にふれもちろん紹介していきます。管見の限りではありますが、そういった研究や関連情報は日本でまだまだ紹介が少ない気もします。管理人は2018年前後にいただいたお仕事との関わりもあってそのような文献をけっこう購入しておりましたこともあり、そちらでも情報蓄積ができればあらためて本ブログの意義になるかなと。

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