トロイア戦争後の物語(4)

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スキュラとカリュブディス

続いてオデュッセウスたち一行は、三重の歯をもつ6つの頭と、12の足を有するという姿で、船乗りを捕らえて食ったという怪物、スキュラが潜む断崖を通ります(のちにスキュラは、人間の上半身に魚の尾、さらに6つの犬の頭をあわせもつ姿と想像されるようになります)。

その反対側にはカリュブディスという大渦巻きが存在しており、オデュッセウスは多くの部下を失いながらここを通過。

昔の航海は、現代と比べものにならないほど危険でしたから、セイレーンやスキュラといった海の怪物は、船乗りたちの間で語り継がれた海の脅威のイメージに由来するのではないでしょうか。

スキュラは美しいニンフだったという話も『変身物語』(13.729以下)などに伝えられています。スキュラは、海の神の一人であるグラウコスの愛を受け入れませんでした。そこでグラウコスは、前記事で言及した魔女キルケに「魔術の力でなんとかならないだろうか」と相談したのですが、キルケのほうがグラウコスに恋をしてしまいます。そして嫉妬したキルケの魔術によって、スキュラは怪物に変えられたというのです(この逸話については別記事でもう少し詳しく解説しました)。

カリュプソ

その後、一行は太陽神ヘリオスの島にたどり着きましたが、そこで部下たちが神の牛を殺して食べたために、神の怒りによる雷に打たれて一行の船は沈められてしまいます。オデュッセウスだけが船のマストにつかまって漂流し、ニンフ(または女神)のカリュプソの島に漂着。

オデュッセウスは歓待を受け、カリュプソから「夫となってくれれば不死にする」とまで言われるのですが、彼は故郷への帰還を願い、カリュプソのもとを去るのでした。

「ナウシカ」の由来

嵐に遇って漂着したスケリア島でオデュッセウスは、そこで可憐な王女ナウシカに出会います。

その名は、宮崎駿の漫画・アニメ映画『風の谷のナウシカ』で有名。宮崎は神話解説本を通じてこの王女ナウシカの姿に魅力を感じ、物語の主人公の名前にしたのだとか(単行本第1巻)。

ナウシカに助けられたオデュッセウスはスケリア島をあとにして、ついに故郷に向かいます。→続く

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