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子どもが読む児童書を店頭で探していたとき、目的のもの(頼まれた本)ではないのですが、気になって購入した児童書がこちらです。大人でもワクワクしませんか。

『神話最強王図鑑』監修/健部伸明、イラスト/なんばきび、学研プラス、2021年、定価1,320円(税込)。学研の公式サイトは、こちらです

現実の生物のみならず、大昔の恐竜や、想像された「幻獣」といった括りのなかで、トーナメント形式のシミュレーションバトルを展開していくという『最強王図鑑』シリーズの一冊です(シリーズ全体の紹介はこちら)。小学生をターゲットに、人気のシリーズのようですね。ちなみに、子どもに購入を頼まれていたのが、角川まんがシリーズ『どっちが強い!?』。両シリーズには通底するところがありそうです。

さて『最強王図鑑』シリーズ、シンプルで勢いある想像力の刺激が小学生にドはまりしそうなのはよくわかります。取り上げられた生物やキャラクターに思い入れがあると、勝ち負けに一喜一憂して、さらにのめり込めそう。現実のスポーツはもとより、少年漫画でも古来よく採用されたトーナメント展開というのは燃えますしね。

私もいま、ギリシア神話を題材にした児童書企画に少し関わっておりますので、児童書について考えたり見たりする機会が増したのですが、なかでも読み手を引き込む良い企画だなあと感心です。

ではここからは、本サイトの内容とも関連し、実際に読んだ『神話最強王図鑑』に即してもう少し具体的にお話ししたいと思います(同シリーズのほかの本とも共通するところがあるでしょう)。

ギリシア神話からは、その知名度に比例してか、ゼウス、アポロン、アレス、ポセイドン、ハデス、テュフォン(本書ではテュポーンとの読みを採用)と、比較的多くのキャラクターが本書に「参戦」しております。

ほかに例をあげると、インド神話からシヴァですとか、北欧神話のトールといった有名どころはもちろん、日本神話のスサノオ、ケルト(アイルランド)神話のルー、メソポタミアの悪魔・悪霊パズズ(映画『エクソシスト』を思い出す!)など、幅広く登場。神話に出てくる存在ということで、神様だけでなく悪魔、幻獣・怪物的キャラクターも戦っています。

ブッキングに苦労したとか、出場NGだった神も少なくない、といった前置きのノリがいいですね。格闘技において、団体が異なるとなかなか実現しない夢の対決みたいだなと含み笑い。

勝敗はネタバレになるのでふれませんけれども、ルールをはじめ、「ありそう」な戦いになるような設定がわりとしっかりなされており、意外に荒唐無稽ではないです。有名なキャラが敗退しても「うーん、これなら仕方ないな」と思える細かな配慮がなされています。もちろん、「いや○○はもっと強いはずだろ!」なんて、あーだこーだ言いながら楽しむのもまた一興。

前提は図鑑ですので、きれいなイラスト(奇をてらわず、神話イメージをよく表現していると思います)で想像を喚起されつつ、飽きずに知識を得ることもできるでしょう。世界の神話の基礎知識が紹介されているのもいいです。『古事記』と『日本書紀』の違い解説まであるのですよ。

本サイトの理念でもありますが、神話は、諸文化に親しむのに有益です。幼いときから神話にふれるのにおすすめの一冊。これを書いた時点では、うちの子どもは本書をまだ読んでいないので、これから実地検証?も試みたいと思います。

なお22年7月末刊行『英雄王最強図鑑』にはギリシア神話の英雄ヘラクレスも登場。こちらも購入予定です。

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