アテナ/ミネルヴァ―戦いと知恵の女神(1)

最終更新日

古代アテネの守護神

アテナは、兜、槍、防具で武装した凜々しい姿でイメージされた戦いの女神。

アテナを描いた古代の陶器画 (Terracotta Lekythos ca. 480–470 B.C., Attributed to the Brygos Painter, Open Access Artworks, The Metropolitan Museum of Art, New York.)

有翼の勝利の女神ニケを伴うほか、知恵の象徴たるフクロウとも一緒に描かれます。

名前の類似に示唆されるように、特に古代アテネ(アテナイ)の守護神でした。太古にアテナは槍で大地を突き、オリーブの木を生えさせてアテネの人々に与え(古来、オリーブは地中海世界の名産物)、崇められるようになったというのです。

神々には添え名、修飾がつくことがありまして、たとえばアテネの守護神としてのアテナは「アテナ・ポリアス」として崇められ、後述のように技芸の神としては「アテナ・エルガネ(労働のアテナ)」と呼ばれました。同じ名前とイメージの神でも、司る領域の一つが特に強調されたり、ある集団や土地との結びつきが強調されたりと、個性化して崇められたのです。

夫や子をもたないアテナは「乙女(パルテノス)」であって、アテネ市の中心部に今もそびえるパルテノン神殿は、「乙女の神殿」の意でアテナを祀ったもの。

パルテノン神殿 (Photo by Patrick on Unsplash)

現存しませんが、神殿の中には黄金で飾られた高さ10メートル以上のアテナ像があったといいます(戦時などに持ち出せるよう、黄金は着脱可能だったとか)。

世界遺産を選定するUNESCOのロゴマークがパルテノンをモチーフにしているように、この神殿は歴史的遺産の象徴たる存在です。

アテナはローマでは「ミネルウァ(英語でミネルヴァ、ミナーヴァ Minerva)」という女神と同一視されました(英語発音のミネルヴァがよく知られていると思うので、アテナの一連の記事ではミネルヴァとの発音を採用しています)。ローマには別に戦いの女神ベローナがいたこともあって、本来ミネルウァにはあまり戦いのイメージはなかったのですが、アテナと同一視されたため後世ではやはり戦いの女神と捉えられ、たとえば戦艦など戦闘に関するものにミネルウァあるいはアテナという名称が見られます。

アテナは「アイギス」という防具を身につけていました。それは胸当てや、大きな楯でイメージされます。アイギス aigis は英語でイージス aegis。最新鋭のレーダーを備えた戦艦を「イージス艦」というのは、これに由来。つまり、アテナの防具のような優れた防御能力を備えている、という意味です。→アテナの記事は続きます

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトは reCAPTCHA で保護されており、Google の プライバシーポリシー利用規約が適用されます。

コメントする