アルテミス/ディアナ 森を駆ける少女神(1)

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永遠の少女

少女の姿でイメージされるアルテミスは、純潔を重んじる神にして弓を得意とする狩猟の神、そして野性的自然を司る存在。父はゼウス、母は女神レトで、アポロンと双子としてエーゲ海のデロス島で生まれたとされます(ふつうは妹とされるが、姉の場合も)。

ピエール゠オーギュスト・ルノワール『ディアナ』(1867, Courtesy National Gallery of Art, Washington.)

太陽の神でもあるアポロンと対をなすように、アルテミスは月の女神と同一視されて、額に三日月形の装飾品をつけて描かれることもあります。

またアポロンが文化領域をカバーする神であるのと対照的に、アルテミスは自然の女神。双生の兄妹(姉弟)として相互補完的な存在ともいえるでしょう。文化と共に自然を常に意識する感性が、この組み合わせには表れているようにも思えます。

アルテミスはローマではディアナ Diana と呼ばれました。これが女性名ダイアナやダイアンの由来。

またアルテミスはデロス島のキュントス山のふもとで誕生したので、「キュンティア Cynthia」とも呼ばれ、女性名シンシア(愛称シンディ)はこちらに由来します。

アルテミスには「輝くもの」を意味する「フォイベ」(兄アポロンの異名でもある「フォイボス」の女性形)という添え名もあり、女性名「フィービー Phoebe」にもつながっています。

男嫌い、だけれど…

アルテミスは純潔を重んじ、もともとは男嫌いともいえるイメージが強くあります。それをうかがわせる有名なエピソード、カリストとアルカスについての話は、星座の由来にも関わりますので、別項で紹介したいと思います。

ただし、ヘレニズム(ギリシア文化が広まると共に、各地の文化とも融合した、前4世紀後半からの300年間ほど)からローマ帝国時代にかけてロマンティックな恋愛物語が好まれるようになると、彼女についての悲しい恋物語もよく語られるようになりました。たとえば、海神ポセイドンの息子オリオンとアルテミスは相思相愛でしたが、アルテミスが意図せずオリオンの命を奪ってしまう逸話が有名で、これも独立した別項で紹介予定。

本項の直接の続きとしては、アルテミスのイメージについて少し掘り下げて紹介したいと思います…

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