アトラスの娘たち カリュプソ、プレイアデス、ヘスペリデス

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別記事で巨人神アトラスについて話したのに合わせて、アトラスの娘たちについても述べておきます。

ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場する海の精霊カリュプソ(カリプソ)は、アトラスと女神プレイオネの子。その名は海に関する様々な事物の名に用いられています。

プレイアデス(プレアデス)」は、アトラスとプレイオネとの間に生まれた七人の娘たちで(カリュプソも含まれることがある)、おうし座のプレアデス星団(すばる)の由来。

一説には彼女たちは狩人オリオン(こちらを参照)に追われて逃れ、ついにはゼウスによって天に上げられたとされます。オリオン座がプレアデスを追いかけるような位置にあることから語られた話なのでしょう。

プレアデスは肉眼だと五〜七個の星から構成されているように見え、「六連星」とも呼ばれます。神話のプレイアデス姉妹は七人ですが、そうした見え方にも神話は対応していて…姉妹の一人エレクトラ(アガメムノンの娘エレクトラとは別)とゼウスとの子が、トロイア戦争の舞台として知られるトロイアの祖。このトロイアが戦争で滅亡したことを嘆いて、エレクトラは流れ星になったので一つ星が少ないという説明があるのです(ヒュギヌス『天文詩』2.21)。

またアトラスは妻プレイオネとの間に別の七人の娘たち、ヒュアデスをもうけたといいます。

彼女たちが、おうし座の頭部にあるヒアデス星団の名の由来。「ヒュアデス」とは「雨女」の意で、この星が見える時期になると雨が降るという言い伝えがありました。

そして、ギリシア神話にちょくちょく登場する「黄金の林檎」を守っていた女たち、ヘスペリデス。アトラスとヘスペリスなる女(その名は「西方」の意)の間に生まれた四姉妹とされる彼女たちは(アトラスの娘としない異伝もあり)、ゼウスが女神ヘラと結婚したときに大地の女神から贈られた黄金の林檎の園を守護する存在。ヘスペリデスはその園自体を意味する場合も。ヘスペリデスの園は、太陽の沈む、遥か西方の楽園とイメージされました。

アトラスの娘たち、いずれもギリシア神話そして天体の呼び名における重要キャラクターですね。

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