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神話においてそれほど有名ではないキャラクターたちも、受け継がれる地名などに関わっているケースが多々あります。そういうのを視野に、「継承事典」を展開していけたらと。(オリュンポスの神々など、逸話の豊富な神々はその物語・イメージを独立記事で紹介しつつも、別個に継承事典項目の方でも後世への名称等の継承例をまとめていきます。)

ここではあえて「マイナーな例」を取り上げてみようと、着目したのが「アブデロス」です。

物語・イメージ

ヘルメスの子で、ヘラクレスに気に入られ(また自身もヘラクレスに憧れ)、従者となって冒険に同行していたとされる少年。ヘラクレスの冒険、功業については別に解説。

ヘラクレスがトラキア(バルカン半島南東部、今のブルガリアやギリシアの一部に重なる)において、当地の王ディオメデスが有していた凶暴で人を食う牝馬を奪ったとき、アブデロスは一時的にその馬の番をすることになったが、暴れた馬に引きずられて(あるいは馬に食われて)アブデロスは死んでしまったという。

継承例

地名アブデラ: トラキア地方の古代ギリシアの都市名。現在もギリシア語で「アヴディラ」との地名として受け継がれる。ヘラクレスが上記のエピソードの後、当地にアブデロスの遺体を埋葬、アブデロスの名にちなんだ都市をそこに創建したのが由来とされる。なお、その地名はトラキア王ディオメデスの姉妹アブデラに由来するとの異説もある(アブデラが女性形かつ地名形)。

アブデラの遺跡(Public Domain via Wikimedia Commons.)

※いうまでもないかもしれませんが、何らかの意味をもつこうした「地名」がまず先にあり、後からつじつまを合わせるように命名の神話が語られるようになる(偉大な英雄ヘラクレスと結びつけるため、とか)という背景もありえます。継承事典では、そうした関連性も包括してご紹介しています。

ちなみに古代アブデラは、原子論を唱えた哲学者デモクリトスや、ソフィストのプロタゴラスの故郷としても有名。

継承諸例は随時更新!こんなのもあるよと、マニアックな例、ぜひお教えください!

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