怪物・想像上の生物 キュクロプス
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キュクロプスは、ヘシオドスにおいてはウラノス(天空)とガイア(大地)の三人の息子である、単眼の巨人(その名は、ブロンテス「雷鳴」、ステロペス「電光」、アルゲス「閃光」とされる)。またポセイドンと海のニンフの子とされることもある。
英語でサイクロプスというが、語源はギリシア語の円(キュクロス cyclos)と目(ops)で、額に丸い眼が一つだけついていることに由来する呼び名。ちなみに熱帯低気圧サイクロン cyclone も同じく「円」が語源。
天空神ウラノスによって冥界の最下層タルタロスに閉じ込められていたとされますが(ウラノスの子クロノスが、そのウラノスと戦う際に助け出し味方にしたこともあったが、再び封じられたという)、ゼウスがクロノスたちと戦った際にゼウス側の味方として解放され、ゼウスには雷霆を、ハデスにはかぶると姿を消すことができる帽子を、ポセイドンには三叉の矛を与えました。
こうして、鍛冶職人のごとき神的存在としてイメージが確立されるのですが、一方で怪物として物語に登場することもあります。
ちなみに、まるで巨人が作ったようだということで、大きな石を積み上げた城壁などをキュクロプス(サイクロプス)様式 cyclopean と表現します。
ところで、巨人や怪物のイメージは、古代人が太古の巨大生物の骨・化石を目にしたことに由来するのではないかという推測があるのです。たとえば古代ギリシアの時代には当地にゾウはいませんでしたが、古い地層から、かつていたゾウ(の仲間、先祖)などの巨大な骨を見つけることがあったかもしれず、そうしたものから古代人が怪物を想像したと考えるのは的外れではないかもしれませんね。また、ゾウの頭蓋骨には大きな目立つ鼻腔が一つあいているので、ゾウを見たことのない人々が鼻腔を眼窩と思い込み、「一つ眼の巨人」をイメージするのもありうることかも。
現代ではゲーム等に怪物として登場するキュクロプスですが、古代人にとっては、ある意味とてもリアルな存在だったのではないでしょうか。