ペルセウスとメドゥーサ(1)

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ギリシア・ローマ神話の特徴といえるのが、神々の血をひく英雄たちの豊かな物語、英雄伝説です。

「英雄」は古代ギリシア語で「ヘロス(ヘーロース)」、これがヒーロー hero という言葉の由来。また彼らは、神の血を半分受け継いでいるということで、「半神」という意味の「ヘミテオス hemitheos」とも呼ばれました(ヘミが「半分」、テオスが「神」の意)。

神々には人間のごとく思い描かれた面がありますが、より人間に近い英雄たちの物語は、古代人にとっての歴史的リアリティも有しながら、基本的に同じ人間であるからこその強い共感や憧れを喚起したり、様々な模範となったりして、受け継がれたのです。

ここでは、怪物メドゥーサ退治で有名な英雄ペルセウスから見ていきたいと思います。

捨てられた子

アルゴスという国の王アクリシオスは、「娘のダナエから生まれる子供によって殺される」という神託を受けました。

ならばダナエが子を生まなければよいと考えたアクリシオスは、男が近づかないように青銅の部屋にダナエを幽閉してしまいます。

しかし、美しいダナエを見初めたゼウスが黄金の雨となって降り、部屋の中へ水として入ってきました。今度は人の姿になって、ダナエに迫るゼウス……

そしてダナエがゼウスの子を身ごもり、誕生したのが英雄ペルセウスなのです。

子供を生んだダナエに当然アクリシオスは驚き、その子にいずれ殺されるという予言を恐れました。しかし孫の命を奪うのは忍びなかったのでしょうか、アクリシオスはダナエと幼いペルセウスを大きな箱に入れ、海に流します(十分にひどいが)。

ゴルゴン退治

漂流した二人はセリフォスという島に流れ着き、島の王ポリュデクテスに助けられます。

ポリュデクテスはダナエに思いを寄せたのですが、彼女はペルセウスが無事に成長するまでそういった気持ちは抱けないと考えたのか、ポリュデクテスの思いを断り続けました。

そのうちペルセウスは立派な若者に成長し、今度はこのペルセウスが邪魔になったので、ポリュデクテスは一計を案じたのです……。

ポリュデクテスが祝宴を開くと、島の貴族たちは祝いの品を持って集まりましたが、招かれたペルセウスは何も持たずにやってきます。

そこでポリュデクテスにけしかけられて、ペルセウスはこう言ったのです(というか、言わざるをえないようにあおられたわけですね)。

「遥か西に住むという恐ろしい怪物、ゴルゴンの首だって自分(ペルセウス)は持ってくることができる」と。

そしてペルセウスは、誇りをかけて実際にゴルゴンのもとへ向かうことになったのです。

ゴルゴンとは、長姉ステノ、次姉エウリュアレ、末妹メドゥーサ(メデューサ)の三姉妹で、遠い西方に住み、髪が無数のうごめく蛇で、翼をもっており、眼を見た者を石化させるという怪物。

彼女たちは、ガイア(大地)の息子で海の神のポルキュスと、同じくガイアの娘であるケトが交わって生まれたと伝えられます。なお同じ親から生まれたという説がある怪物が、上半身が女で下半身が蛇という怪物エキドナ。ゴルゴンとエキドナは混同されることも。

ペルセウスはなにしろゼウスの子ですから、ミッション遂行のために神々の導きを得て、まずグライアイ三姉妹のもとを訪れました。

彼女らは一つの眼と一本の歯を交代で使い見張りをするという老女で、ゴルゴンの姉妹。彼女たちが、ゴルゴン退治に必要な物を有するニンフたちの居場所を知っていたのです。ペルセウスは、見張りの交代の隙にグライアイの眼を奪い、それを返す代わりにニンフの居場所を聞き出しました(うーん、なかなかに姑息)。

それからニンフたちによって、翼のある靴、かぶれば姿が見えなくなる帽子、ゴルゴンの首を封じておくための袋を与えられます。またヘルメスからはゴルゴンの首を斬るための鎌も授けられました。

準備万端のペルセウス、ゴルゴンの住む地にたどり着きます。ゴルゴン三姉妹のうちメドゥーサだけが不死ではなかったので、ペルセウスはメドゥーサに狙いを定めました。直接その眼を見ると石になってしまうので、アテナに導かれながら彼は輝く青銅の楯にメドゥーサの姿を映し出し、それを見ながら首を斬り落としたといいます。→後半はメドゥーサ・イメージのお話し

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