緑の天使(銀の谷のマリア)

最終更新日

ドラえもん映画『海底鬼岩城』について書いたことで、さらに思い出した作品がありました。

代表作に『銀河鉄道999』がある松本零士が、ムーとアトランティスを設定に取り入れている漫画、『緑の天使』(松本あきら名義、わかば書房、1960年、初出は1958年の光文社『少女』夏休み増刊号と、同年の講談社『少女クラブ』4月号、再刊の際に『銀の谷のマリア』に改題)です。

作中では、太平洋にミユ(ムー)、大西洋にアトランチスという大陸があり、前者にはハート国、後者にはオーロラ国が存在していて、両国の戦争から始まる因縁を軸に、後世ヨーロッパまで展開する歴史ファンタジーとなっています。アトランチス(オーロラ国)が好戦的で、ミユ大陸の国王は心やさしい統治者だったとの設定に、単純な善悪が重ねられているわけではないのですが、このように日本のフィクション作品においては、どちらかといえばムー大陸が主人公側、読み手にとって共感しやすい側、アトランティスが敵側として描かれる傾向があります。これは太平洋のムー大陸に親近感を覚えやすい日本独特の傾向でしょう。この点で、『海底鬼岩城』と合わせて思い出しました。

なお松本零士には、単行本化されていない作品で「ミユから来た女」(『漫画ゴラクdokuhon』1969年6月9日増刊号)もあります。

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトは reCAPTCHA で保護されており、Google の プライバシーポリシー利用規約が適用されます。

コメントする