プラトンは語る(4)

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次は、「アトランティス島」の成り立ちと、島名の由来である「アトラス」について。始原のとき、神々は領土を分配しました。のちのアトランティス島を領有することになったのが、海神ポセイドン。ポセイドンは島に暮らしていた人間の娘クレイトを妻とし、子をもうけ、その子孫がアトランティスの統治者となります。

国土は十に分けられ十人の王が統治したのですが、最初の長子の家系が筆頭であったといいます。アトランティスという名は初代の王アトラスに由来しており、「アトラスの島」の意 。

なお、ギリシアの文化も受け継ぐ古代ローマの言語、ラテン語で「大西洋の」という意味の表現がAtlanticus。そこから地名形(地名に多い女性名詞形)として変化すると(大西洋の島とか陸地を意味する表現にすると)、Atlantica。ラテン系言語を意識している場合や、それらの言語の文化圏の者が、アトランティスではなくアトランティカ(アトランチカ)との表記を用いる場合もあります。

アトランティス島は海上を支配する強国となっていきました。国内の体制は、王が支配領域で絶対的権力をふるう、専制君主国家。王たちは数年ごとに会合を開き、国事の相談や罪を犯した者がいないか調査を行ったとされます。

ところでアトラスとは、ギリシア神話において、神々間の争いに敗れた罰として西方で天空を支えている巨人神です。

地図帳等に描かれることがある、天を背負うアトラスのイメージ。A Smaller Classical Mythology: With Translations from the Ancient Poets, and Questions upon the Work by William Smith. London: John Murray, Albemarle Street. 1882. p.7. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.

大西洋を英語でAtlantic Ocean、つまり「アトラスの海」といいますが、これは(ギリシア含む地中海から見て)西方にアトラスがいるという神話に基づくと考えられている。北アフリカのアトラス山脈も、この巨人神が由来。ギリシアから見れば遠く西方に存在し、高くそびえるこの山脈は、まるで天を支えるアトラスのように思えたことでしょう。失われた島アトランティスへの言及はプラトンよりも前には認められないのですが、この西方の「アトラス」はギリシア人がプラトン以前から語り継いできた多くの神話のひとつ。「プラトンはこれを流用し、西方のアトラスの島=アトランティスという名を考え出したのではないか。このようにプラトンは様々な要素を借用して創作したのだ」とする見方に対して、「プラトンは真実と強調して詳細に描写しているのだから、創作ではないはず」との意見があるわけです。続きでは、そうした詳しい描写の例を挙げていきましょう。

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