パーシー・ジャクソン

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多くの子供たちが熱心に読んだ21世紀型のギリシア神話といえそうなのが、児童小説の『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』。アメリカ合衆国の作家リック・リオーダン(ライアダンとの表記もあり)による、半神半人デミゴッドの少年パーシー(その名は神話の英雄ペルセウス Perseus に由来)の活躍を描いた物語です(全5巻、2005~09年)。外伝に加え、続編『オリンポスの神々と7人の英雄』(全5巻、2010~14年)も刊行されるなど、広範に読者を獲得してきました。

金原瑞人、小林みき訳、静山社(と、親会社が同じ、ほるぷ出版)より翻訳が刊行されています。いまは文庫として普及版が出ていますね(静山社ペガサス文庫)。ちなみに静山社さんは『ハリー・ポッター』の邦訳を刊行していた出版社でもあります。

2021年時点で映画化が二作。原作者がブログ等で語っていたところでは、映画のできに不満だったこともあってか、映画続編は頓挫しましたが、今度はディズニーのドラマ化の情報があります。Disney+で早ければ2023年に配信とのこと。

本作は、ギリシア神話の神々が実際に今も生き続けているという世界観のもと、神々が住む「オリンポス(オリュンポス)」がエンパイアステートビルの600階にあるとされるなど、様々な点で神話を現代化しているところが個人的におもしろいです。

こうした若年層向けの作品を介して、古来の神話物語とイメージは次の世代へと受け継がれていくのでしょうね。

英語文献で専門的な話になってしまうのですが、どのようにギリシア神話を再構成しているかについて詳しくは、Joanna Paul “The Half-Blood Hero: Percy Jackson and Mythmaking in the Twenty-First Century” in: Vanda Zajko and Helena Hoyle (eds.), A Handbook to the Reception of Classical Mythology, Malden, MA: Wiley-Blackwell, 2017, p.229-242。この論集は、ギリシア神話の継承をたどった多彩な論考を含んでおり有益です。

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