パン/ファウヌス 自然の神から悪魔へ?(1)

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牧人と牧畜の神

パン(パーン)は牧人と牧畜の神で、ヘルメスと、アルカディア地方のニンフであるドリュオペとの子(諸説あり)。下半身が山羊、上半身は人間で、角の生えた半獣神の姿でイメージされました。

ヘルメスが生まれた子をオリュンポスの神々に見せたとき、その不思議な姿を全ての神々が面白がったことから、ギリシア語で「全て」の意の名、「パン」と名づけられたといいます(たとえば「パン・パシフィック」は「太平洋全体、汎太平洋」、「パノラマ panorama」は「全ての景色」の意)。

しかしそれは後づけで、「牧人」の意の古形「パオン」から変化したようです。

ローマ神話ではファウヌス Faunus と呼ばれ、ディオニュソスの従者サテュロスと同一視されることがあります。

このパンが怪物テュフォン(こちらを参照)に襲われた際、恐慌に陥って、上半身は山羊、下半身は魚というこっけいな姿で逃げたそうな。それをゼウスが天に上げたというのが、やぎ座 Capricornus(Capricorn)の由来説明。一方、神々がティタン神族と戦った際に(こちらで紹介しています)、パンが貝殻をほら貝のように吹き鳴らして神々を応援した姿が星座とされたという説もあります(エラトステネス『カタステリスモイ/星の配置』、やぎ座の説明)。この解釈では、やぎ座の下半身が魚なのは貝殻を求めて魚の姿で海に潜った名残というわけ。

また、ローマ神話には神々の戦いにおいてユピテルに味方したというカプリコルヌスなる雄山羊がいて、こちらをやぎ座とする考え方も。星座の説明にもいろいろバリエーション、異説がございます。

さて、このパンのイメージは、いろいろなところに影響をおよぼしておりまして…続きます。

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