ローマの起源(7) ローマ建国
自分たちの国を作ろうとするロムルスとレムスの双子は、人々を率いて近隣の土地に移りました。しかし、新しい国の中心をどこに定めるかで、二人は対立します。
レムスはアウェンティヌスの丘、ロムルスはパラティヌスの丘という場所を選んだのです。
二人は、神の示す吉兆によってどちらにするべきか決めることにしました。すると、レムスのほうには禿鷹が六羽、ロムルスのほうにはその倍の数の禿鷹が現れました。禿鷹は人のものに害を加えず、珍しい鳥として、吉兆を示すとされたのです。
こうして神の選択が示されたとして、ロムルスは都市建設に取りかかりました。
ところがレムスは気に入らなかったので、ロムルスによって城壁のまわりにめぐらされた堀を飛び越え、ロムルスを挑発。怒ったロムルス(または部下の者)が、レムスを殺してしまうのです。
ロムルスはレムスを埋葬し、建設を進めていきました。こうした双子の争いには、もう一人の自分、これまでの自分との葛藤や決別といったモチーフが読み取れるのかもしれません……
ロムルスは都市を完成させると、自分の名からローマと名づけたといいます。おそらくこれがローマ固有の建国神話であったのが、先述のアエネアスに結びつけられたのでしょう。
最後は争った二人ですが、ロムルスとレムスが狼に乳を与えられ助かったという逸話から、狼の乳を吸う双子の姿がローマ市の紋章に描かれるなど、彼らのイメージは永遠の都ローマにおいて受け継がれ続けています。