ローマの起源(6) レア・シルウィアが産んだ双子
アネネアスの息子であるシルウィウス王から十数代後のことです。ヌミトルとアムリウスという兄弟がラティウムの支配を争い、弟アムリウスが兄から権力を奪って独裁者となりました。
アムリウスはヌミトルの一人娘であるレア・シルウィアを、女神ウェスタの巫女にします。巫女は婚姻が許されないので、これで兄の血筋を断絶させようと考えたのです。
しかしそのシルウィアを見初めたのが、軍神マルス。シルウィアはマルスによって双子ロムルスとレムスを授かります。
アムリウスは神の子と認めず、王位を継ぎうる子たちを捨ててくるよう召使に命じました。その召使は、赤子を籠に入れて川岸に捨てたのですが、川が増水して逆流すると籠は上流まで運ばれます。そこで双子を助けたのが、マルスの使いたる雌の狼。二人は狼に乳をもらって生きのびたのです。
※「捨ててこい→実は生きてる」の神話あるあるですね。オイディプスの逸話も有名です。ちなみに、実際には狼の習性ではそんなことは絶対にしないともいわれますし、人間の赤ん坊が狼の乳を飲んで栄養にするのも不可能らしいのですが。と、神話につっこむのも気が引けますね。
そして、羊飼いファウストゥルスが双子を拾い、その妻と共に双子を育てました。ロムルスとレムスと名づけられて二人は成長します。
あるとき、弟レムスがヌミトルの家畜を奪おうとしてヌミトルのもとに捕らえられたことから、双子は自分たちがヌミトルの孫であると知りました。そしてロムルスはアムリウスに敵対する者たちを率いて王宮へと攻め入って、これを討ち取ります。
二人は祖父であるヌミトルに国を任せることにし、新たな地に自分たちの国をつくることにしたのですが……続く