最終更新日

神話・イメージ

マルスは、ローマにおいて崇められた軍神。その司る領域の類似から、ギリシア神話におけるアレス(ゼウスとヘラの子)と同一視される。アレスの方は激しい気性の神で、オリュンポス十二神の一員だが、アフロディテの愛人としてのエピソード以外はそれほど目立った逸話がない(アレスも別個に解説予定)。しかしマルスはローマ人によってたいへん重視された神。戦に臨む雄々しい若者の姿でイメージされ、象徴は矛、楯、剣、兜など戦いに関わるもの。

継承

絵画:ボッティチェリ『ヴィーナスとマルス』(1483年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー)など。

火星 Mars:赤く見える火星は、血や戦火の連想もあって戦いのイメージと結びつけられやすく、マルスと火星が重ねられた。

「火曜」の呼び名:イタリア語、スペイン語など、ラテン語の影響が強い言語では、「火曜」に関連。たとえばスペイン語では火曜は martes といい、マルス(火星)の日。

記号♂:マルス(アレス)の矛と楯に由来。もともとはマルス(アレス)と同一視された火星を象徴した記号。

言葉:形容詞 martial(戦争の、軍人らしい)。

3月 March :「マルスの月」に由来。春になって軍事行動が始まる時期だったことから。ときに「戦争好きのローマ人」ともいわれるほど戦争を重ねて大帝国を築いたローマ人にとって、マルスはとても重要な神だった。ローマの暦では1年はもともと10カ月で、マルスの月が最初の月だったといわれている。昔々、雪が積もる冬は休戦の時期。雪がとけると戦争が再開され、農耕も始まる。その時期が年のサイクルの始まりとされたのだ。しかし前8世紀後半に即位したというローマ王ヌマが1年を12カ月にして、マルスの月の前に2つの月を増やしたと伝えられる。

人名:ヨーロッパ諸言語に見られる、マーク、マルクス、マルコ、マルセル、マーティン、マルタン、マルティネスなどの名は、マルスから派生。

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトは reCAPTCHA で保護されており、Google の プライバシーポリシー利用規約が適用されます。

コメントする